突如として始まったCazquiへの質問ラッシュ「Cazqui 50 questions」。
今回は後編をお送りいたします。
前編はこちらからお楽しみいただけますので、そちらもぜひご覧ください。
さて今回はどんな質問と答えが飛び出すのか。
Q26. ヴィジュアル系シーンをどう捉えていますか?
元を辿れば、己の美学を追求することに強い拘りを持つアーティストの姿勢に名がついたもの、それがヴィジュアル系かなと。
現在においては、そういった先人アーティストが築き上げた様式と、その派生形などが混在するバラエティ豊かなシーンだと思っています。
Q27. Cazquiさんは時折、ヴィジュアル系じゃない人と見られることがありますよね。それについてはご自身ではどう思いますか?
Wikipediaの「ヴィジュアル系」のページにも書いてあるんですけど、元を正せばこのジャンルの音楽性ってヘビィメタルとかハードロックというものが基盤の一つだったりします。
それは00年代から現在へいくにつれアップデートされ、ヘビィロックやデスコア/メタルコアといった数多のサブジャンルへと派生していきました。
で、当人はずっとその文脈における「ヴィジュアル系」のつもりですが、ぼくが活動を始めたのはハードなヴィジュアル系バンドがメインストリームじゃなかった時期なので、他とちょっと違ってました。だから余所者と認識されがちだったかも。
当時はうーんって思ってたんですけど、もし自分たちが大事にしている畑に、余所者(っぽいやつ)が正体不明の野菜を植えようとしてたら、なにそれこわい!やめて!かえれ!って思っちゃうだろうし、ぼくも警戒する。で、もしも横柄なやつだったら、ぜったい畑貸したくないじゃん。未知のものが敬遠されるのは、仕方のないことだと思います。今じゃみんな「ウニは美味しい!」って言うけど、最初にウニをかち割って食べようと思った人、勇気ありすぎですし。
Q28. こうなりたいという目標はありますか?
前回のマガジンで言った通り、還暦まではがんばりますが、それ以降は色々厳しいと思うので、Cazquiを水戸黄門のように何代かに渡って続く役柄にするのが目標です。そうすればぼくが死んでもCazqui's Brutal Orchestraは永遠に続くわけじゃないですか。曲もさすがに古くなるでしょうが、メロや歌詞はそのままで、若い人がアレンジやミックスを変えてアップデートしていけば良いです。あ、でもその頃にはCBOのコンセプトをちゃんと理解してくれているスタッフのみなさんもいなくなっちゃうから、その跡取りも必要ですね。2代目以降のCazquiは、もちろんぼくより若いことが条件。最近の若い子だいたいギターうまいし、そこらへんは心配いらないかと。あと、ぼくよりも作画が安定してて、コロコロ変わったりしない方が良いですよね。まぁ、銀髪にして、このフライングVが目に入らぬか!って演出をすれば多分それはだいたいCazquiです。大丈夫。なので活動しながら2代目を探します。あ、でもメルカリで不老不死の薬が売ってたら教えてください。2157年ワンマンツアー決定!とか、そういう字面を眺めてウケたい気持ちも若干あるし。
Q29. 個人的に「成功」ってどんなものですか?
仮にたくさんのひとから認知されたり、どんなに賞賛される環境にあっても、当の本人はそれを続けることがしんどい、みたいなケースもよくあります。
なので、しんどいと思ったらいつでも寝たり、休みたいときに休むことが出来て、気が向いたときに食べたい料理を食べられて、好きなときに好きな音楽を作る生活を続けても、マイナスが生じない状態、のことですね。
Q30. 活動において優先していることはなんですか?
CBOに関して、ものづくりに全力を注ぐのは、「自分自身が納得したいから」に過ぎない、ということを忘れないようにしています。
例えば、ぼくが不眠不休で曲を作ったり、ステージに立った日があるとして、そんなのリスナーの方々からすれば、知ったことではないですし。
なので「頼まれてもいない、自分自身の負荷」に対して「これだけの想いをして作ったのだから、きっと」というような、淡い期待を抱かないようにしています。
例えば新曲を出して、全人類から全否定されても、まぁいいか、ぼくは納得いくまでやったし、しかたがない結果だ、次は別のアプローチでいこ~!ってきもちでいられるのが、一番良いと思うんですよね。
どんなに大変な状態でも、まずは自分を納得させながら、楽しみを見出すこと、そして、リスナーの方も一緒に楽しめる、最大公約数を目指せたら良いなぁと思ってます。
Q31. 音楽をやる上でのいちばんの幸せってどんなことですか?
前回のマガジンを自分で読んでみて思ったんですけど、わりとファンキーな人間だよな~と思うし、ぜんぜん、このひとには理解も共感もできない!みたいな人って普通にいっぱいいるとおもうんですよね。
けれど、少なからず、ぼくの発信してきた、あるいは今後発信していく音楽だとか、ヴィジュアルだとか、もはやなんでもいいんですけど、なんらかの関心があって、ここまで読んでくれてるのだと思います。
そういう風に、本来なら無縁であるはずの人とも接点を持てる最大の手段が、自分にとっては音楽なんです。
逆に、言ってること全部わかる!好き!みたいな人もいるかもしれないけど、もしもぼく自身が音楽をやってなかったら、お互いまったく交わることなく生涯を終えていたのでは、と思うんです。
音楽をやる上での幸せ、というか喜びは、こうやって本来なら出会うことが出来なかった人々と接点を得られることですね。
Q32. 曲のインスピレーションはどうやって生まれてきますか?
20代の頃はギター弾いたり、シンセを打ち込んで、おっ、カッコいいな、みたいなフレーズがきっかけであることが多かったんですけど、今は「なんか言いたくて仕方がないとき」ですね。そんなときは、SNSより作曲に用いるDAWソフトを開くようにしています。
Q33. どの部分から作り始めますか?
CBOは「サビの直前から、サビそのもの」が多いかもしれません。楽器に関しては、ベースとシンセとドラムしか鳴ってないことが多いです。それが出来たあとに、ようやくパセリとかバジル、あるいは粉チーズのような感覚でギタートラックを加えるパターン。
Q34. 言葉がメロディを呼ぶことはありますか?
むしろ3/7のライブタイトルになっている「幻紫蝶-ヴァイオリア-」や、「AQUARIUM」はiphoneのメモ帳に言葉を入力するところから始めていて、その言葉にメロディやトラックをつけています。
Q35. 制作に行き詰まるとき、どうしていますか?
とりあえず台所に行って、糖質オフパスタを引っ張り出して、ソースについて考えます。アレレ!あの材料がないじゃん!買いに行かなきゃダメだよね!と「今やらなければいけない事」をすり替えます。そして調理を終えます。アッ!なんだか眠くなってきたなぁ。無理は身体によくないよね!寝ちゃおっと!エッ!もうこんな時間!オイオイオイ死ぬわオレ(そしてやらざるを得ない)って感じです。
Q36. 楽曲を制作するのは早い方ですか?
自分でも引いてしまうくらい早い時もあれば、1ヶ月ずーっと同じ曲の同じ箇所を触り続け、全く進まないときもあります。
Q37. まだまだ作りたい曲のアイディアはありますか?
安西先生、俺、CBOでもクラッカー打ちたいです。ステージでクラッカーを打つために、曲を作りたいです。
Q38. 個人的な趣味嗜好の範囲でもいいとしたら、どんな曲を作ってみたいとかありますか?
ヒップホップ、ハードスタイルなど、いわゆるロックのカテゴリではない音楽形式ですね。
でも、なんだかんだ個人的な趣味嗜好100%で作ることってあんまりないかもです。
みんなが食べられない激辛料理を作って、一人で食べるのも美味しいんだけど、どうせなら少し唐辛子を控えめにして、みんなで食べた方が楽しくない?みたいな感覚の方が、今は強いかも。
Q39. Cazquiさんは曲ができた時、デモの段階で映像と合わせて聞いてもらうことが多いそうですね。曲を作る時に映像まで浮かんでいるんですか?
例えばTHE BUTTON EYESのMVにおけるサビのキメ部分とか、曲を作ったときからあのイメージがありました。だいたい映像とセットですね。
Q40. 曲を作る時の衝動ってどんなところにありますか?
自分が「割り切らなければならない出来事」に苛まれたり、他人のそれを目の当たりにした時ですね。
全て口に出せばその時は楽になるかもしれない、でも、それが無関係の誰かを傷つけてしまうかもしれない、そんな風に、歳を重ねれば重ねるほど、自分の中で「沈黙」が美徳となっていくような気がします。
幼い頃を改めて振り返ると、音楽、エレキギターというのは、そんな時でも寄り添ってくれる存在であったなと。
なので、黙って楽曲を作って、同じような気持ちを抱える他の誰かにとってプラスになれば、ポジティブかつ生産的だなと。
Q41. 楽曲づくりのために、映画を見るなどのインプット作業をすることはありますか?
本を読んだり、ジャンル問わず映像作品を見たり、他人と対話したり、何かしらインプットしてきっかけを作らないと基本ダメです!(笑)
Q42. 楽曲を制作して「これで完成」と判断するポイントを教えてください。
基本的に、なんらかの形式で世に出るギリギリまで諦めないし、往生際が悪いです(笑)
「THE BUTTON EYES」もMV公開2日前とかまでバージョンをアップデートしていたような記憶が...。
Q43. 歌うことは好きですか?
10代の頃はよく友達とカラオケとか行ってて、嫌いじゃなかったんですけど、20歳のとき、当時患ってた甲状腺の病気を寛解させるために首元の手術をしたんですよね。そのとき副交感神経に傷がついたみたいで、1ヶ月くらいまともに喋れなかった時期がありまして。まぁ、その甲斐あって病気は寛解してるし、やがてちゃんと喋れるようにはなりましたが、あれからなんか歌は突っかかる感じが残ってて、もうてんでダメですね。でも、エディットすれば使い物になる程度のシャウトは可能なので、そういうのはライブコーラスや、メインボーカルトラックの補強や、オケの賑やかしに使うことがあります。
Q44. 歌を生かすコンポーザーと評されることが多いですが、Cazquiさんにとって歌ってどんな位置付けですか?
「”カッコいいだけの音楽”を超えるための最重要ファクター」です。
一応ぼくの専攻楽器はエレキギターなんですけど、例えば評論家みたいなおじさんがいきなり目の前に現れて、自分のギターをけちょんけちょんに否定してきても「べつにこのひとに好かれたり、褒められなくても、困らないんだよな~だって、これがすき!っていってくれるひといるし」みたいな感覚にしかならないかもです。そういう「果たして、自分のプレイスタイルはカッコいいのか?正しいのか?」みたいな確認は、もう済ませてて。
そもそも「カッコいいだけ」のものは世の中にいくらでもありますし、もはやそういう前途とも呼べる条件を超えて、聴いた人にとって「大事なもの」を、自らの手で生み出せるかどうか...それが今後の課題です。
Q45. 自分のつくる曲に合う声ってあると思いますか? 例えばこんな声が欲しいってものはありますか?
「THE BUTTON EYES」など、メタル/ハードコア要素の強い曲において、架神くんの声質が持つ極端なコントラストは、場面情景をバシバシ変えていく曲調とベストマッチだと思います。
それとは異なるベクトルの、メタル/ハードコアとも言い難い、カテゴライズが謎すぎるトラックを作ったまま誰にも聴かせず放置してたりするので、例えばこういうのをヒップホップ的な文脈を持つ20代の人に歌ってもらったらどうなるんだろう?とか思ったりします。三連をアクセントにして言葉をたくさん敷き詰めていくような。
Q46. ライブをする上でいちばん好きな会場はどこですか? また、やってみたい会場はありますか?
新木場STUDIO COASTだったんですけどね~(笑)なくなっちゃった!
で、その新木場に新しく出来た箱が気になってます!
Q47. 自分が作れるとしたらどんな会場がいいですか?
家から徒歩10秒のとこがいいです!寝坊してもなんとかなる!
Q48. バンドとソロの魅力の違いってどんなところだと思いますか?
映画やアニメ、あるいは小説のように、"物語"を紡いでいく点はどちらも同じだと思うのですが、「登場キャラクターの人数」が大きな違いかな、と。
必ずしもキャラクターの人数が面白さと比例するわけではなく、それぞれに魅力がありますよね。
例えば、キャラクターが複数登場する作品において、キャラクターAとキャラクターBは思想が合わず、対立関係にある。という設定であれば、両者のせめぎ合い、互いの正義がぶつかり合う様子を楽しむ事が出来ますし、そんな両者が一致団結するタイミングで、めちゃくちゃグッと来たりします。加えて、登場キャラクターの誰に感情移入するか、という選択肢も多いです。
バンドの魅力はそんなところですかね。
一方、登場人物が少ない作品の場合は、キャラクターの人物像や背景がかなり細かく描写されていたり、あれ、この人はいったい誰だっけ?という現象に陥ることも少ないので、見ている側は作品の根幹となっているストーリーに集中する事が出来ますし、制作側が群像劇に没頭して作品テーマをおろそかにしたり、おかしな方向に物語が展開することも少ないんじゃないかと。
ソロの魅力は、そういうところですかね。
Q49. ご自身が思うCazqui's Brutal Orchestraの魅力ってどこだと思いますか?
美醜のコントラストとか、どんなに激しい曲でも、どこかしらに口ずさめそうな箇所があることですかね。
あとクルーのイケメンっぷりです。あの中にいると乙女ゲーをプレイしてる感覚になれます。
Q50. 2023年はどんな展望をお持ちですか?
なんか、久々にライブとかをやってみて、色々と思うことがありまして、来年はそれを元に、しっかり具現化していければと思っています。
あと多分、曲を更にいっぱい作らなきゃいけないので、つまりは現実逃避のために料理をすることが増えます!!なのできっと、料理のレパートリーがたくさん増えますよ!みんな、シェフとしての成長を楽しみにしててくれよな!チャンネルは、このまま!(o>q°o)v
・・・まさかの、シェフとしてなんかい!!っていう締めくくり(笑)。
とはいえ、Cazqui’s Brutal Orchestraは、曲作りも含めて、未来に向けて進んでおります!
楽しいことやワクワクすることを皆さんと作っていけたら嬉しいです。
そんなわけで「Cazqui 50 questions」はこれにて終了。
また角度を変えて、いきなり質問をぶつけてみようと思っています。
公式LINEでもたくさんの楽しいことができたらと思いますので、引き続き応援よろしくお願いいたします!
0コメント