3月7日、新宿BLAZEで「Cazqui's Brutal Orchestra LIVE 001 “幻紫蝶-ヴァイオリア-”」が開催された。
会場は”眠らない街”と称される新宿・歌舞伎町にあり、会場の外はいつものように喧騒を極めていた。
ただ、会場の中はその雰囲気とは違っていた。
会場には、まるでテーマパークに来たかのようなBGMが観客を迎え、外とはまるで別世界。
心が躍るような仕掛けで、Cazqui's Brutal Orchestra(以下CBO)の世界がもうすでにそこに広がっていたのだ。
満員のオーディエンスが会場に入りきると、場内が暗転。
一瞬の静寂のあと、ショパンの「Nocturne Op.9 No.2.」の調べがゆっくりと流れ始める。
そしてその刹那。
優しい旋律を破壊するような激しいSEへ変化すると、ステージの暗幕が開かれて紫色の光が場内を包んだ。
ステージに登場するオーケストラクルーたち。会場の熱気もどんどん上がっていく。
1曲目は『THE BUTTON EYES』。
Vo.架神(DEXCORE)のシャウトをきっかけにフロントのオーケストラクルーが一斉に前に出ると、フロアもそれに応えるように髪を振り乱す。
満員のフロアと、ステージを所狭しと動き回る7人編成のブルータル オーケストラ。
”美しき混沌”が幕を開けた。
「ここにいる人で、曲を知らない人もちらほらいると思います。大丈夫です。俺らがしっかり誘導するんで、安心して頭振って、声出して楽しんで帰ってください。頭振れるか!!」
続いて披露されたのは『DEBRIS』。
テンポが速く激しい楽曲も、Dr.のZyean(JILUKA)は安定したリズムをキープし続け、そこにBa.Boogie(JILUKA)が高揚感のあるグルーヴを作り出す。
アグレッシブなBoogieのステージングはその高揚感をさらに増幅させた。
続く『THE HEAVEN'S OPEN』では美しいメロディに会場中の手が挙がる。
煌びやかに空が広がるようなCazquiのギターソロと、弓代星空(AUROROZE)のヴァイオリンがこの曲の美しさを際立たせていた。
立て続けに3曲が演奏されると、会場にゴーストアトラクションさながらのナレーションが流れ始める。
ライブ中のエモーショナルな生の叫びも大切にしながらも、こういった構築されたエンターテインメントで世界観を創り出すのもCBOの魅力だろう。
「ようこそいらっしゃいました」という挨拶ののち、ナレーションがその日のオーケストラクルーを紹介すると、
より深いCBOの世界へと入り込んでいくように、その扉を開いていく。
「ここは、かつて たいへん賑わいを見せていたテーマパークの跡地。
なんとも懐かしい。。。
大切な思い出は 月日を重ねるほどに輝きが増して行きますが
追い求めれば 追い求めるほどに、遠のいていく。。。
それでも その輝きに手を伸ばしてしまうのも また人間の性なのでしょうな。
さて、このテーマパーク跡であなたが見るのは、美しき夢 か まやかし か、
はたまた、破壊と混沌か....それでは、誘(いざな)いましょう」
そこから、古びた遊園地を思わせるSEから始まる「退廃のエルドラド」へと続き、
流れるようにマニピュレーター・Velladonのソロから『RE:NOSTALGIA』へ。
広がった世界から、目を覚ましたら殺風景な部屋の天井が見えたかのような錯覚の中、美しいピアノの音色が浸透していく。
ここで披露されたのは『光葬』。
眩い光の中で、壮大なコーラスと架神の声が混ざり合って、なんとも幻想的な世界を作り出し、
続く『CLEARLANCE』ではVelladonのサックスもフィーチャーされ、音楽的な部分でのエンターテインメントも見せつけた。
大きな拍手の中、スポットライトに浮かび上がる弓代星空のシルエット。
ゆっくりと動かした弓から奏でられたメロディが心地よく響いていく。
そして悠然と流れるヴァイオリンの音色の余韻のなかに入っていくバンドの激しい音色たち。
激しいリズムで観客を熱くすると、そのままヴァイオリン印象的なイントロの『幻紫蝶-ヴァイオリア-』へと繋げていく。
フロアから上がる大歓声。
振り上げられた手、ヘドバン、コールアンドレスポンス、ハンドクラップーーー。会場が完全にひとつになった。
最高のテンションのまま、畳みかけるように演奏されたラストは『THE FANATIC DANCERS』。
アップテンポでキャッチーでありながら、激しくそして美しい。
会場の熱気も最高潮に達し、間奏では、CazquiとDaichi(G)がセンターで背中合わせでソロを弾くというエモーショナルなシーンも印象的だった。
ただ、それだけではない。
間奏後に歌われた言葉も、クルー全員のパフォーマンスも、心をぎゅっと掴まれるほど感動的だった。
こうして、CBOの世界を堪能できるさまざまな楽しみが散りばめられたライブ本編が大興奮の中で終了。
暗転する会場に、鳴り止まないアンコールの声。
その気持ちに応えるように登場するオーケストラクルーたち。
アンコールでは、ゆったりとしたテンポが新鮮な『AQUALIUM』や、今回初披露となった『造花のレヴィアータ』も届けられ、CBOの新たな一面も見せてくれた。
そしてCBOとしてはいちばん歴史のある楽曲『OSWALD』も披露。
進化し続けるCBOの中に入ると、また違ったスパイスが効いたように奥深く聴こえてくる。
ラストは「おそらくみんながいちばん知ってるだろう曲。もう一回やって帰るわ!クソでかい声出せよ!!」という架神の言葉から『THE BUTTON EYES』。
一音一音に反応するように、ステージもフロアも暴れに暴れまくる圧巻の風景が広がった。
「Cazqui's Brutal Orchestra LIVE 001 “幻紫蝶-ヴァイオリア-”」は満員の大歓声の中でその幕を閉じた。
Cazquiが本格始動を宣言して、なるべくたくさんの人に見て欲しいという想いが形になったライブ。
このライブを経て、「たくさん考えていることがある」とCazquiは言う。
これからCazquiが仕掛けていく未来が楽しみだ。
0コメント